"嬌声"

蜘蛛に糸を絡めつれられて
動けなくなる
夢を見たんだ
彼女はきっと
口から粘膜を滴らせ
寝ながらにして
絡み付いている
君の顔をジッと見ていた
沢山の瞳で

君は飛ぼうとしていた
荒野から青空へ
飛んだ君は思う
荒野の延長でしかないと

彼女は君の神経に
鋏角を突き刺し
動けなくしてから
食べたいと言った

例えば隠している
口腔からの火炎放射や
耳目からの針の触手
または屁理屈での説得で
彼女を燃やし
切り裂き
消す炭に
なんてことも考えるけれど

消す→消し炭

　"ユーモア"

使い古されたメソッドを
反復と抽出で
狂気に見せかけた
正気のルーチンを
君は讃えた

生まれたときから眺める
レッドナプキンボックスが
幻想を奪い去ったのさ
ただの汗の臭いと
獣欲の反復
羞恥心の抽出
幻想にしか
真実のエロスは存在しない
白人の彼女はそう囁いた
トイレの安いタバコの臭い
巻きなおすベース弦の重さ
はじけて切れた頬の血
ブラフを撒き続ける君の歌
反復するルーチンに
意味を見出した聴衆
諸行無常業務上過失
情状酌量推定無罪放免娑婆駄々流有

真実を捻じ曲げて
ファンタジーに見せかけた