(
>>1からの続き)
◆遺体は発見されないまま 授かった新たな命
スーツケースに隠した赤ん坊の遺体が誰にも発見されないまま
>2年余。女性はマッチングアプリを通じて男性Bと知り合った。
(中略)
家族と折り合いが悪くなり実家を出たものの生活費を工面できず、男性と時間を
過ごして見返りにお金を受け取る「パパ活」などで、日々の生活をしのいでいた。
>20年11月、困窮する様子を見かねたBはアパートを契約した。
>2人の同居生活が始まり1カ月ほどして、女性の妊娠が判明した。
新たな命を授かったことを喜んだBは、女性に結婚を申し込んだ。
女性はこのとき「今回は、幸せになれる」と思ったという。
ただ、女性は病院に行かなかった。
(中略)
Bには「保険証は実家にあるが、家族とケンカをして
追い出されたので取りに行きづらい」と取り繕った。
(中略)
次第に、2人の気持ちはすれ違い、婚姻届は出されないままになった。
◆再び独りで出産「誰にも知られたくなかった」
スマートフォンや自宅のゴミをチェックするなど、自身を束縛するような
Bの行動に不満を募らせ、オンラインゲームが唯一の気晴らしとなった。
Bはネット上であれ、女性が自分の知らない相手とゲームすることを嫌がった。
ケンカになって「ゲームをやめるか、家を出ていくか、どちらかを選んで」と迫ることもあった。
関係が険悪になっても、他に行く当てのない女性はBとの同居生活を続けた。そして21年8月、
浴室で出産。検察側によると、赤ん坊は、湯水から取り上げられなかったことで死亡した。
(中略)
(次へ続く)
(
>>2からの続き)
>24年3月、首都圏の地方裁判所で女性に判決が言い渡された。懲役5年6月(求刑・懲役7年)
で、殺意をもって出産直後の赤ん坊を30分間、水中に放置したことを認定。
裁判長は「一人で出産に至った経緯には父親らにも責任があるが、母親として命の
尊さに向き合うことなく、犯行を繰り返したことは強い非難に値する」と述べた。
女性は判決を不服とし、控訴した。
◆孤立出産の女性 背景に「境界知能」
こども家庭庁の統計によると、2003〜22年に虐待で死亡した生後0日の赤ん坊は176人に上る。
全て医療機関外での出産で、父親となる男性の年齢が判明したのは43人にとどまった。
(中略)
孤立出産の末、遺体を隠したなどとして逮捕された女性らの精神鑑定をしてきた
精神科医の興野康也さん(47)=熊本県=は、軽度の知的障害や、知的障害では
ないものの知的能力がやや低い「境界知能」が事件の背景にあると指摘する。
人とのコミュニケーションが不得意で孤立しやすく、勉強や金銭管理、
仕事を続けることを苦手とするケースが多く、興野さんは「周りからは
『個人の性格』とみなされ、サポートが得られにくい」と指摘する。
(以下略)
(終わり)