【草の葉】 ウォルト・ホイットマン 【W. Whitman】
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71まーじ ◆ykDJvODuLA

AAS

NG

言葉よ、本の内部をうずめる言葉よ、おまえたちは何者だ、言葉はもはや無用、だって見たまえ、聴きたまえ、
わたしの歌はあの大気のさなかにあり、わたしが歌を歌うときは、旗印と長旗にもはためいていてほしい



長旗


上がっておいで、詩人よ、詩人よ、
上がっておいで、魂よ、魂よ、
上がっておいで、いとしい幼子よ、
わたしといっしょに雲と風の中を飛び、無量無辺の光とたわむれるがよい

2014/03/17(月)20:35:16.40(a8cwWSXn.net)


72まーじ ◆ykDJvODuLA

AAS

NG

詩人


しかしわたしは海ではなく、赤い太陽でもなく、少女のように笑いさざめく風でもない、
吹きつのる強い風でも、吹き付ける烈風でもない、
おのれが宿る肉体にむちをあてては、恐怖や死へと追い込んでいく霊でもない、
わたしは姿を見せずに訪れて、ただひたすらに歌い、歌い、歌い続け、
小川となってさらさら流れ、驟雨となって地面に注ぎ、

2014/03/17(月)20:41:14.73(a8cwWSXn.net)


73まーじ ◆ykDJvODuLA

AAS

NG

魂の製作は、地球が語る、耳に聞こえぬあの言葉が担う、
名匠は地球の言葉を心得ていて、耳に聞こえる言葉よりも、そちらのほうを多く使う。

改良は、地球が語る言葉の一つ、地球の足どりはのろまではなく、急ぐでもなく、
そもそもの始めから、すべての属性、発育、成果をおのれ自身の中に潜ませており、
美しい反面だけでなく、数々の極致を披露しながら、欠陥や贅肉も結構しっかり晒している

2014/03/17(月)20:47:30.40(a8cwWSXn.net)


74まーじ ◆ykDJvODuLA

AAS

NG

地球は弁じたてることをせず、情に流されることも、計画通りに振る舞うこともない、
悲鳴もあげず、急ぎもせず、説得も威嚇も、約束もせず、細かい詮索には手を染めず、
失敗なんかつゆほどもせず、ドアはことごとく開け放って何一つ拒まず、何一つ締め出さず、
すべての権力、物象、国家について告げ知らせ、締め出すものは何一つない

2014/03/17(月)21:10:45.92(a8cwWSXn.net)


75まーじ ◆ykDJvODuLA

AAS

NG

アメリカスギの密林の中で息絶えてゆく巨木の声


「さようなら、わたしの兄弟たち、さようなら、おお、大地と大空よ、さようなら、
君ら隣人である海よ川よ、わが寿命はつきた、最後の時が来た」


中略



かのアメリカスギの密林の中で、斧の鋭利な舌でざっくりと切り裂かれつつ、
巨木がおのれの死の歌を歌っているのを聞いた。

2014/03/17(月)21:57:12.07(a8cwWSXn.net)


76まーじ ◆ykDJvODuLA

AAS

NG

今まさに極致となる、新しい人のあなたに、この新しい帝国を、
あなたに約束されて久しいこの国土を、わたしたちは保証し、あなたに捧げる。

あなた、深淵で不可思議な意図よ、あなた、普通人の霊を宿した男よ、
己自身が唯一の支え、法は定めても法に従うことのない万物の目的よ、



中略



あなたの寵児たる、人間、あなたそっくりの種族も、ここでなら強く優しい巨木となり、
ここでなら大自然と釣り合うぐらいの背丈になれる、

2014/03/17(月)22:05:04.58(a8cwWSXn.net)


77まーじ ◆ykDJvODuLA

AAS

NG

おお、希望と信念よ、おお、国を追われた愛国者の生涯の痛ましい終局よ、
おお、頭の病める心よ、



だが慈悲の甘みが、苦い破滅を醸成し恐怖におびえた君主たちが戻ってくる、
それぞれにお供を連れて威風堂々、つき従うは首切り役人、坊主、収税吏、兵隊、
法官、領主、獄吏、おべっか使い、




若者たちのこれらの死体、絞首台からぶらさがる彼ら殉教者、灰色の鉛で打ち抜かれた彼らの心臓は、
冷たく不動のままと思えはしても、トサツしきれぬ活力を、ほかのどこかでたぎらせている

2014/03/17(月)23:56:21.37(a8cwWSXn.net)


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