都筑道夫・4
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622甘辛亭 [sage]

AAS

NG

いや〜、書庫というほど立派なものを持っていないので、蔵の中w の未整理のダンボール箱を漁るのはひと苦労です。
目当てのものは発掘できましたが、おかげで今日は、もうあまり書き込める時間が無い。
まあ、気長にお付き合いください。

『ミステリマガジン』1977年7月号(No.255)は、ジョン・ディクスン・カーの追悼特集を組んでいます。
横溝正史、鮎川哲也、中島河太郎らが追悼のエッセイを寄せていますが、なかでひときわ異彩を放っているのが、
都筑さんの「私のカー観」。

書きだしはこうです。

 ひところ、カーが大嫌いだった。敗戦後、江戸川乱歩がカーの紹介に熱を入れすぎたことが、
日本の推理小説の近代化を、かなり遅らしたと思っていた。/嫌いな理由は、いわゆる本格推理小説
としては、冒険小説ふうの味が強すぎるからだ。トリックが複雑で、不自然なところも、気に入らない。
「三つの棺」や「ユダの窓」、「曲った蝶番」や「読者よ欺かるるなかれ」などは、もっとも気に入らない
作品である。

余談ながら、のちに手塚治虫が亡くなったとき、某コミック情報誌に宮崎駿という人が、

「アニメについてこれまで手塚さんが喋ったこと、主張したこと、みんな間違いです」

といった内容の、大人げない追悼文を載せたさい、私は思わずコレを連想しましたwww
都筑さんは、さすがに否定しっぱなしではなく、後半、評価する流れに持って行っていますが。
そのへんは次回に。

2014/04/15(火)12:41:51.59(DK6uq7su.net)


623甘辛亭 [sage]

AAS

NG

前掲の追悼エッセイのなかで都筑さんは、後年、未読だったカーの作品をまとめ読みしたときには、
気に入ったものがいくつか出てきた、として・・・
『連続殺人事件』『緑のカプセルの謎』そして『貴婦人として死す』を傑作認定しています。
大衆冒険小説の味が洗練されていることでは、『バトラー弁護に立つ』が好きだとも。
そしてカーが、
 
 騎士物語を現代化したイアン・フレミングと、一脈通じるところがありそうな気がする。

と、いかにもこの人らしい見方も披露しています。
しかし、そうした肯定的な面は、例の『黄色い部屋』ではほとんど言及されません。
なぜか?
国産本格のトリック偏重を正すためには、まず何より、都筑さんの考えるカーのマイナス面を強調して、
叩くことが有効だと考えたのではないでしょうか。
この場合、カーの向こうには、熱心なカー・ファンでありトリック主導の読みかたを日本のミステリ・ファンにうえつけてしまった、
江戸川乱歩の存在があると思います。
つまり、カーをだしにした、乱歩的本格ミステリ観の否定。

ああ、もう時間が・・・
あと1回、国内ミステリ事情に話を戻したかったのですが、このツヅキはまた明日にでも。

2014/04/15(火)13:12:32.39(DK6uq7su.net)


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