初めて小説を書こうと思うんだが
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2創る名無しに見る名無し

AAS

NG

プロローグ



空はいくつあるか。
こう聞かれたときに多くの人が、空を指すように指を立て、一つだと言うだろう。
でも、僕はそう思わない。
空は見上げる人の数だけあるのだ。
これを読んであなたは何をおかしなことを言ってるんだと思ったに違いない。
例えば三人の人が同時に空を見上げたとする。見ている空は同じ空だ。でも、三人には違う空に見えている。
ある人には浮かんでいる雲が主役に見える。ほかのある人は青色のグラデーションに注目する。またある人はその先に広がっているはずの宇宙を想像する。
人によって物の見え方は違うということだ。いや、見え方は同じだが捉え方が違うというべきか。
こういったことは日常生活でも多々あると思う。もっともほかの人がどう捉えているか分からないから確かめようがないが。
僕は他の人が物事をどう捉えているかをいつも気にしていた。

いや、ほかの人が自分の事をどう捉えているかをいつも気にしていた。

大多数の人から好かれているが少数の人から嫌われているA君。大多数の人から嫌われているが少数の人から好かれているB君。
どちらになりたいかと聞かれると、間違いなく誰もがA君をとるだろう。あたりまえだ。多くの人から好かれたほうがいいに決まっている。


今からB君になったある男の話をする。うろ覚えではあるが。

2017/04/29(土)09:20:58.95(glLaEDCC.net)


3創る名無しに見る名無し

AAS

NG

第一章



炎天下という字は炎の天の下と書くが、今日は本当にこの言葉がぴったりだと思う。
アイスを買いに行くのもおっくうになるほどの暑さだ。かといって家の冷凍庫のアイスは昨日でなくなってしまったし、仕方がない。
この気温のなかアイスを食べずにエアコンのない部屋で過ごすなんて地獄だ。

もやがかかったアスファルトの先を意味もなく見つめ歩く。
歩いている間は何をしていいのか分からない。歩いてればいいのだが、足を動かすだけでは頭の仕事がない。
ふと見上げると青い空が広がっていた。雲がいくつか浮いているが、これでも快晴というらしい。昔学校で習った気がする。
空の青も一色ではないことに気が付いた。薄い青や濃い青のグラデーションでできていることに気が付いた。
観察しているとこれがなかなか面白い。なんだ、何も考えずアスファルトを見てるよりよっぽどいいじゃないか。そう思った。


溶けたアスファルトの匂いが立ち込めるなか、一人空を見上げてコンビニへ向かう。
家賃が安いとはいえコンビニから遠いのは不便だな。新しい部屋に引っ越そう。広い部屋が二つあり日が入るには十分すぎるほどの大きな窓が外の景色を映し出す。
頭で想像するのはタダだ。
けしてお金に困っているわけではないが、あるわけでもない。
社会人2年目にして2回職場を変えている。この不景気、2回も就職できるなんてラッキーだと思われるかもしれないがそんなことはない。
誰もすすんでやらないような仕事をしてきたのだ。
名前も思い出せないような三流大学を卒業した後、就いた仕事は辞書の営業だった。手当たり次第に家を回って辞書を売る。幸い僕は人と話すのを少しばかり得意としていたので営業成績は悪くなかった。むしろいいほうだと思う。

しかしその仕事は3ヶ月も続かなかった。クレーム対応に嫌気がさしたのだ。僕は人の怒っているところを見るのが苦痛だ。怒られるのが嫌というわけではない。その人の表情、声色、態度。それを見るのがどうしても嫌だった。

2017/04/29(土)09:22:41.72(glLaEDCC.net)


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