沖縄戦敗北の最大原因は管区移管にあります
本来、沖縄は西部軍管区に分類された地域でしたが
これを師管的連繋のない台湾方面軍に切り貼りした形で第１０方面軍を新設しました
９師の引き抜きなど沖縄防衛の弱体化はこの編成上の重大な欠陥と矛盾に端を発しているのです
もとより地理的分割に過ぎない方面軍に一枚岩を要求すること自体無理があります
しかしなぜこのような変則的編成をあえて行ったかについては２つの相反する理由が挙げられます
１つは伝統の９師は後方沖縄ではなく、攻勢正面と予想された台湾に配備すべきいう通説です
しかしもう１つは９師が明治以来の伝統的部隊であるがゆえに温存したかったという考えです
いずれにせよ第１０方面軍の設定それ自体が９師を台湾に移駐させるために大本営が仕組んだ弄策なので
逆に言えば３２軍がこの「戦略」を知らされる筈はありません
沖縄戦敗退を語る上で最も重要なファクターであるこの軍管区変更をさしおいて
枝葉末節たる末期的症状の洞窟戦を連ねても戦略的反省を得ることはできません