西成区男性「借金、犯罪で逃げても警察も債権も追うてこん」
http://getnews.jp/archives/255843高齢化率や生活保護受給率が高い大阪・西成区。橋下大阪市長は、西成の活性化に向けて「西成特区構想」を進めている。
この西成に、連帯保証人となって人生を転落させた男が逃げ込んできた。作家の山藤章一郎氏が送るルポ。
>1泊1200円。布団、枕、カラーテレビ、洋服ダンス付きの3畳間。2階に大浴場が備わった〈M〉ホテル。通称〈釜ヶ崎ヒルトン〉。
布団はせんべいだが、シーツもカバーもカビ臭くはない。朝から福祉センターに並べば、仕事もある。マイクロバスに連れられた飯場作業で8500円。
これで何か不平はありますか、ほかに人生で必要なものがありますかと、田中はちいちゃんに訊く。
ふたりは共同風呂で仲良しになった。ちいちゃんが応える。
「おうよ、最高じゃけえのぉ、ここは。借金、犯罪で逃げてきとるわしらチンカスを警察も債権も追うてこん。
戸籍いらん。住民票、履歴書いらん。人との絆? そげなメンドイもんもいらんけぇ」
田中氏、45歳、小デブ。東京で小出版社をやるダチの連帯保証人になって人生破滅、ここ大阪・萩之茶屋に逃げこんできた。
本名を言わぬちいちゃんは、広島でヨメの兄貴の土建業の連帯保証人になり同じく茨道へ。49歳。のどぼとけが飛びだし、釘みたいに痩せている。
あらためて確認しておきます。連帯保証とはなにか。田中の場合、ダチが銀行から2200万円借り、連帯保証人になってくれといってきた。
「まっ、いいか」とりあえずハンコついた。と、銀行はダチの返済が1週間遅れただけで「返せ」と強硬催促。
半年後、「もうだめ。ごめん」ダチは電話1本寄越して姿消した。
それから2年、すったもんだの挙げ句、田中は豊島区のマンションを売り、1400万円返済した。