【WW2】沖縄戦について教えろ下さい【太平洋戦争】
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44名無しさん@お腹いっぱい。

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帝国陸軍の最後 (4) (光人社NF文庫)
伊藤 正徳(著)

友を抱く敵は撃たぬ

小隊長八木保一郎は別に興奮せず、案外落ちついた態度をもって述べて言葉の中に、
次のような感銘的の示唆があった。
「落ち着いて戦えば、アメリカ兵はソウ恐るべき敵とは思われません。
彼らは生命をたいせつにしながら戦う習慣ですから、機先を制して一発ガンと
くらわすことが秘訣です。私の臼砲(32サンチ口径。弾の重さ300キロ)の場合でも、
一発くらわすと、モウその地域には近寄って来ません。わが方に動揺の色があったらだめです。
また夜襲に軍刀を抜いて進むのもいけません。潜行して出鼻をくじけば勝機は
いつでも生まれます。」
すなわち八木小隊長は、沖縄の戦争において、日本軍がアメリカに負けるなぞとは
ぜんぜん考えてもいないふうであった。
たのもしい限りであったが、首脳部の胸にはどう響いたか。が、それよりも
数倍感銘的であったのは彼の次の余談である。それは、
「米兵の戦友に対する親切には感動させられました。戦友が倒れると、そんな犠牲を
払っても収容にやって来ます。そこを撃つと効果があるのですが、
あまりに殉教的な態度なので、ツイ引金をひく気になれませんでした。」

2015/12/30(水)03:46:52.00(RNTuq7ur0.net)


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帝国陸軍の最後 (4) (光人社NF文庫)
伊藤 正徳(著)

広森中尉らの特攻第一陣

そこへ期せずして第2航空軍から台湾へ増派される武剋飛行隊の第1陣が途中着陸したのであった。
神中佐は、その広森部隊だけでも投入して、眼前を遊弋中の敵艦隊に一撃を加え、彼の
計画を第1日において攪乱したい衝動に駆られ、その夕、北飛行場に急行して
広森以下の9勇士と会合し、特攻敢行の要望を述べて彼らの意中を質した。
精気横溢するも沈着の度を失わない青年将校広森達雄は、「やってみましょう」
と簡単率直に答えたのち、8名の部下を集めて静かに言い渡した言葉は次のとおりであった。
「いよいよ明朝は特攻だ。みないつものようにおれについて来い。そこで次のことだけは
約束しておこう。今度生まれ変わったら、それがたとえ蛆虫であろうとも、国を
愛する忠誠心だけは失わぬようにしよう。」
一同は「ハーイ」と声高らかに答えるのであった。10時間ののちには死んでゆく若人たちが、
死んだのちも愛国の誠心を持ち続けようとするその純正無垢の精神には、強気の神参謀も
胸を突き刺されて、思わず涙を流してしまった。

一機は直撃弾を受けて、ゆらゆらと海中に落ちて行くのが眺められたが、他の8機は、
隼の急降下するような姿勢で目標艦に突進して行った。いくつかの黒煙が天に沖し、
それが消えたのちに艦影が見えなくなったのは轟沈の証拠であって、その数は
少なくとも5つであった。

2015/12/30(水)04:29:10.49(RNTuq7ur0.net)


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